今日の日記

2003年11月16日
「to R 日曜日 完結編 その参」

「・・・・・。」
「それから今に至るわけだよ、亀五郎。」

 私はニヒルな笑みを浮べながら、少し熱く語った己に酔っていた。

「・・・・・。」
「亀五郎?」
「ホワァ?・・・・・。」
「寝るなぁ〜!!!放流決定!!!」
「ノォォォ〜!!!起きてまんがんな、起きてまんがなぁ。寝たフリしてただけですやん!関西風のボケですやん!ノリボケですやん!」

 ノリボケ?ノリボケなんてあったのか?

「まぁいい。とりあえず、放流は保留しておく。」
「放流は保留でっか?ホウリュウはホ(ウ)リュウ?いやぁ〜、親父ギャグでんなぁ〜。あんまり笑えませんで。」

 私は目を見開き、これでもかっ!というぐらいに亀五郎を睨みつけた。

「嘘、ウソデンガナ。そんな怒らんといてェ〜なぁ〜。まぁ、それはおいといて、ちゃんと聞いてましたで。そうそう、話の中で一つ不思議に思ったことがありますねん。」

 うまく話題を変えたな。亀五郎。

「何だ?言ってみろ。」
「享世はんのいう社会ってなんですのん?」

「社会というのは人間が人間の中で生きていくため、人間同士がより良く生きるために作った枠。そういうのではないか。」

「より良く生きるためにあるもんやったら、なんでそれが恐怖とか恐れとかに変わりますのん?」

 難しいことを言う。

「そうだな、言って例えるなら・・・

 社会というのは、お化け屋敷みたいなものなのかもしれない。一歩目は確かに怖い。でも、入ってしまえばそれほどでもなかったりする。でも、怖くて怖くて、もう二度と入りたくないと思う人もいれば、それが楽しいと思う人もいる。恐いのを我慢しながら、大丈夫!といきまいて、強気な人もいれば、まったく所詮、そんなものと、無関心な人もいる。

 でもな、今だから思うが、本当に恐いのはお化け屋敷そのものではなく、その中にいるお化けなんだ。これ、分かるか?つまりな、怖いという感情はそのお化けとの兼合いなんだ。例えば、どこから、脅かされるか?そのお化けの正体は?次は何が起こる?そういう一つ一つの不安の集合体が恐怖なんだ。では、その一つ一つの不安を焦らず、的確に把握することができれば、恐怖という感情も薄らいでいくのではないだろうか。実際はそんな簡単にはできたものではない。その時々の状況によってお化け屋敷の中身は微妙に変化するからな。

 だが、経験と推測である程度の恐怖は回避できると思うわけだ。そのためには、たくさん傷ついて、たくさん後悔して、喧嘩して笑って、泣いて怒って叱られて、それでも前に進むこと、そして、退く勇気。相反する言葉だが、進むだけしかできない時間の中で生きていくためには、やはり、退くことを知ることも一つだと思う。でも、これが一番難しいのだがな。よく言うだろ?言うは易し、行うは難し。とな。例え、行うことが難しくても、心の片隅にでもそう思う気持ちがある。それで良いと思う。思えないことは行うこともできないからな。でもな、本当に今だからそう思える。あの頃の嵐の中では何も見えなかったからな。」

「享世はん、立派に成長をしなはって・・・。お父さんはとても嬉しい。頑張れよ、息子。」
「はい!お父さん!・・・オイッ・・・。」

 しまった、この私が・・・亀五郎につられてしまった・・・。

「でも、人間はんの言う社会と言うのは小難しいとこでんな。享世はんの説明、なんや、分かったような、分からんような話やさかいに・・・。まぁ、今、落ちついてはるいうことは、とりあえず、嵐から脱出でっか?いや、もしかしたら、まだ台風の目?これからが、本嵐でっせ、享世はん!」

 こいつ、嫌なことを言いやがる・・・。


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